「京都の昔からの暮らしぶりを記録して残したい」という株式会社エクザムの木下社長の熱情に同感し、まず手始めとして「京のおばんざい」を作ってみることになりました。
たまたま私も近くのお仲間と、京町家暮らしの中から衣、食、住にわたり、先人達の知恵を発信すべく細やかながら活動を続けてきたのもあって、早速メンバーの中で都合のつく数名が、それぞれ作った料理を持ち寄っての試食会が実施されました。
―試食する前に、ちゃんと写真も撮ってもろてインターネットに登場とは、おばんざいもえらい出世しはりますなあ。
―これはおいしい!! ほんまにこんな値で出来たんどすか?
―冥加(みょうが)が悪るおすし、ほかさんと(捨てずに)全部使こたんどすえ!
わいわい騒ぎながらの楽しい試食会に、日頃は一人暮らしで孤食がちの方達も、久し振りに思わず食が進んだと大喜び。かつては大家族の賄いを50年近く続けた人も、さすが昔とった杵柄とやら、久々に気合を入れて台所に立つことが出来たとか。
「京のおばんざい」は、
究極のエコ料理
さて、この京のおばんざいですが、近頃やたらもてはやされてきましたが、なんのことはない、常々京都の家庭で作られてきた料理のことです。
今更改めて人様に御紹介申し上げるようなご馳走では決してないのです。
最近はお金に糸目をつけないで遠方からのお取り寄せを、あるいは手間暇かけた山海の高級珍味を、はたまた、晴れの日にしか頂かなかった贅沢な京料理を...という、はやりのグルメ指向とは大違い。対極の存在なのです。
そう、「京のおばんざい」はまさに、楽、安、近、そのものなのです。
無駄な労力も時間もお金もかけずに、旬の食材を近場で安く求め、捨てる部分も工夫して最少量にする。そして、毎日頂いても体に障りなく、飽きのこない究極の合理的な始末な料理―エコそのものが京のおばんざいなのです。
試作会の結果、お正月をひかえ、「次回はおばんざい組重(おせち料理)でも...」という運びになりました。そして、今後も可能な限り作り続けて、「献立の数を二桁、三桁にまでも増やしていきましょう」とやる気だけは満々でした。
ところが、会員の中には長期にわたり体調を崩してしまったり、家族に不幸が起こったりなどして、この度やっと一年遅れでお正月料理をお目にかけるという結果となりました。粗末ですが、簡単に出来るのが何よりの取り得です。お試し下さい。
そして、このサイトにアクセスして下さった方が、おばんざいの奥深い良さに気付いて下さって、せめて食物のごもく(ごみ)だけでも減りますよう、食材の輸送距離が下がりますよう、過食、偏食による病人が出ませんよう、孤食によって家庭崩壊や非行児童増加等悲しいことが起こりませんよう、地球温暖化防止のささやかな貢献となれば...と祈るばかりです。
文責:吉井
京町家意匠会議のみなさん。
蕪の千枚漬もどき・蕪の皮と葉の一夜漬。蕪を無駄なく使って、2種の漬物に。
「蕪の千枚漬もどき・蕪の皮と葉の一夜漬」レシピページ
おばんざい組重・与の重。中は、紅白なます、お煮しめ、鮭の味噌漬など。
特集「京の町屋のお正月料理」


















