「京都のおばんざい」について

おばんざいは、超合理的なスローフード

おばんざいとは京都の常の日のお惣菜のこと。
旬の素材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立の数々。
日持ちがしない料理は、食べ残しの出ない分量だけ作り、あともの足りない分は作り置きの出来る常備菜でまかなう。
無駄なお金も時間も労力もかけんと、ゴミも少ししか出さない、超合理的な伝統の家庭料理。
電気冷蔵庫が今程普及していない時代、京都では、これらはごくあたりまえの調理法でした。

蕪の千枚漬けもどき 蕪の皮と葉の一夜漬け―蕪の皮も葉っぱもおいしくいただけます。残った昆布も塩昆布に。 茶がらの佃煮―NHKで放映。大好評のレシピ。酒肴、ふりかけ用の常備菜。

常の日は質素に暮らし、晴の日こそは、手によりかけて御馳走を作るけれど、お客様には仕出し屋はんからの御料理で・・・この方がかえって安上りで、うちの恥も見せずに済むという先人の教え。以上の事をふまえて、今の一見豊かな食生活を見直してみるに、食材のマイレージ(遠い外国からの輸入)値、賞味期限の過敏反応を含めての食品の廃棄量、脂質等の過食による病人数等は増加、上昇、孤食による心と体と経済面の問題点も多過ぎます。京都のあたりまえで少しでも改善出来ればと、お粗末ながら京のおばんざいのレシピをお届けさせて頂きます。

(京町家意匠会議 藤田、高橋、羽津、吉竹、吉井)

「京都のおばんざい」を運営するにあたって

このWebサイトは株式会社エクザムが運営しています。私どもの社是に、「社会に役立つ会社にしよう」という1文がありますが、このWebサイトが、私たちや私たちに続く若い方たちの暮らしに、ひいては社会に役立つよう願うものです。

ここ数年、京の町家がお洒落なレストランに改修されたり、大学が町家に教室を設けたりと、町家ブームが続いています。古いからという理由だけで壊されてきたものが、人の手が加わり、見直され、再びよみがえるのは、京都に生まれ、京都に住み、京都で仕事をする者としてうれしいことではありますが、大切なのは外側ではなく、町家に暮らす人々の知恵や心得でこそあるべきで、日々のおばんざい作りを通じてそのことを皆さまに知っていただきたいとの願いからこのサイトを立ち上げました。

幸いなことに、町家の衣食住について教えてくださる「京町家・暮らしの意匠会議」の皆様方、そして、京町家で高名な杉本家の杉本節子様とお出会いし、日常生活の一端に触れ、益々その思いが強くなっていきました。京都の暮らしは驚くほど、また、愉快に感じるほど合理的です。「町家の暮らしが合理的?」と不思議にお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、その暮らしぶりを拝見していますと、本当の合理性とはこういうことを言うのだとあらためて考えさせられます。材料をとことん使い切ることでお金を節約し、そして労力も時間も節約した賢い工夫は、お金を出せばなんでも買えるという考えの対極に位置するものかと思います。先人の知恵を死蔵させず、「始末する心」を持った豊かな暮らしとはどのようなものか、機会あるごとに発信していきたいと思います。

最後に、「京町家・暮らしの意匠会議」の吉井様のお言葉をご紹介して終わりたいと思います。

このサイトにアクセスして下さった方が、おばんざいの奥深い良さに気付いて下さって、せめて食物のごもく(ごみ)だけでも減りますよう、食材の輸送距離が下がりますよう、過食・偏食による病人が出ませんよう、孤食によって家庭崩壊や非行児童増加等悲しいことが起こりませんよう、地球温暖化防止のささやかな貢献となれば...と祈るばかりです。

町家暮らしの知恵を拝借

おばんざいのレシピや暮らしの知恵をご提供いただいている方々をご紹介致します。

京の町家 暮らしの意匠会議

京町家に伝わる知恵を今に伝えるべく活動されています。NHKの「ためしてガッテン」にも出演されました。

京の町家 暮らしの意匠会議

料理研究家 杉本節子

京町家で高名な杉本家に伝わるおばんざいを継承。料理研究家としても活躍されています。

料理研究家 杉本節子