京の町家のお正月料理 - 京都のおばんざい

京町家意匠会議　高橋　吉竹　吉井
高級老舗の食材標示偽装や輸入食品の有害物質添加事件の相続く昨今、こんな時こそ安全で安価なお正月料理を手軽に手作りで作ってみませんか？
高価な食材や手間をかけた高級組重ではないけれど、昔ながらの家庭のぬくもりの味を試してみては如何でしょう。（味付けはお好みで増減のこと、憶えやすい量で記入してあります。）

昔はお煮しめ等、冷たく堅くなってつい残りがちでしたが、今はレンジで温め直すのも手軽になりました。それでも残った食品は、目先を変えて使い切ってしまえるよう、数種例をあげておきます。

茶碗蒸しの椀種に	しいたけ、かしわ焼、焼魚、かまぼこ、黒豆等。
ちらし寿司の具として	しいたけ、焼魚、酢ごぼう、酢れんこん、かまぼこ、黒豆、卵焼、にんじん等、刻んで酢めしに混ぜる。
黒豆の煮汁	このまま飲んでものどの薬になる。さつま芋等の甘煮にすると紫芋色になる。
天ぷらの材料に	れんこん、ごぼう、にんじん、たけのこ、里芋等、お煮しめ。
数の子	細かくほぐし酒粕、ねりわさびとあえる。
にらみ鯛	酒をふりかけ、焼き直したり蒸したりしてそのまま頂いてもよいが、かぶらのだしにしたり、鯛ソーメンにしてもおいしく頂ける。

お雑煮	頭芋人の頭に立てるように。丸餅・小芋丸く円満に暮らせるよう。亀甲型の大根おめでたい亀にあやかり、ジャスターゼで消化もよくするため。
お祝箸	白木の柳(家内喜)箸で長寿を願う、柳は風雪に耐え折れにくい縁起物。箸袋には、お重用には組重又は宝来と書き、家族用は主人始めそれぞれの名前を書く。毎年必ず来訪する客には、その方の名前に様をつけて用意しておくと喜ばれる。
お屠蘇	元旦、家族揃って挨拶を交わしたらまずこれを頂く。そのあと、大福茶、三種の肴、お雑煮を頂く。屠蘇延命散には、山椒・肉桂・桔梗・白朮・防風・細辛等が入っている。
組重(おせち)	ごまめ田作りとも言われ、昔、田畑の肥料にも使われたことから、豊作を願う縁起物とされています。数の子子孫繁栄を祈る。たたきごぼう地中深く根を張るごぼうにお家安泰を願う。たたくのは消化の悪い繊維をつぶすため。黒豆黒色は魔除けとされた。豆で健康に過ごせますように。昆布巻よろこぶにかけた縁起物。広布にかけて広がるとも言われる。きんとん金団、金塊に似ている事から豊かな暮らしを望む。紅白なます紅白の水引をかたどって。

以上、縁起物を中心に三が日台所に立たずに済むよう、来客にもすぐ出せるように保存食を用意しました。
本来は季節の変わり目「節」に神へ供えた「御節供」を直会（なおらい）として頂いたものです。

大福茶	元旦の朝、最初に汲んだ水(若水)を用意し、若水を使って入れた煎茶に、小梅、結び昆布を入れて頂く(この若水は雑煮にも使う) 。
祝膳	男性は内、裏ともに、朱塗り一色で仕上げ、家紋をつけた膳と椀を使う。女性は内は朱、外側は黒塗りの高足膳と椀に女紋をつけたものを使う。